東北学院中学校・高等学校

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年頭所感-大橋邦一校長-

2018年01月04日

一生学問、一生求道

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    中学校・高等学校
 校長 大橋邦一

 謹んで新年のお慶びを申し上げます。旧年中の皆様のお祈りと温かいご支援に心から感謝を申し上げます。どうぞ本年も東北学院中学校・高等学校生徒、教職員一同、宜しくお願い申し上げます。
 本年は、いよいよ「2018年問題」の年を迎えました。いわゆる「大学全入時代」に突入します。すでに全国私立大学の4割は定員割れの状態であります。さらに国からの入学定員厳守の指導がより強化されます。当然、すでに高校、中学、幼稚園では少子化による学校経営の厳しさが続いています。
 そもそも日本の人口は、今から114年前、日露戦争のあった1904(明治37)年頃、約4,600万人でありました。一方、今から82年後、2100年、日本の人口は4,959万人になるという予測があります。日本の人口はピーク時の2008(平成20)年の1億2,806万人を境に、前後約100年間で今日までに約2・9倍となり、今後0・39倍まで減少するという急激な人口動態の最中にあります。今の日本の人口は、まるでジェットコースターの最高地点から一気に急降下を始めている状態と言えます。
 また、2007(平成19)年に生まれた日本人、現在満10歳(小学校4年生)の50%は107歳まで生きるという試算もあります。ですから、今、教育、仕事、引退という一直線の人生から、教育、冒険、会社勤め、移行、独立・自営、ボランティア、副業、引退などを掛け持ったり、繰り返したりする人生、人生を絶えずシフトする人生設計として「ライフ・シフト」が提唱されています。人生100年時代をどう生きるのかと問われています。もう学んだ内容を覚え答えて難関大学に合格し、大企業や公務員になって安定した生活を望んだとしても、退職後にまだ20年から30年、40年の人生が待っている時代が始まっているのです。この新しい時代を生き抜くため、学校教育はただ出口に待つ進学や就職のための学びから、人口減少をはじめとする社会的課題に生涯挑み続ける学びが求められています。生涯学び続け、道を求め続ける「一生学問、一生求道」の姿勢を身につけた学院生を育てなければなりません。
 昨年3月、こうした新しい時代に必要となる資質・能力の育成のための新学習指導要領が公示されました。「何を学ぶか」だけではなく、「どのように学ぶか」「何ができるようになるか」が問われます。「研究」や「探求」の時間が設けられ「思考力、判断力、表現力」も求められます。もちろんグローバル社会に対応する「英語四技能(読み、聞き、書き、話す)」が求められています。中学の「道徳の教科化」、高校の「歴史総合」「公共」の時間も登場し、日本人としてのアイデンティティも問われようとしています。そして、2020年度より「大学入学共通テスト」が始まります。国語と数学で記述式問題が登場し、英語四技能の評価のため外部試験結果の導入も始まります。
 本校は、昨年4月より「新コース制」がスタートしました。3L精神の伝統を生かし、新しい時代の「地の塩 世の光」として生き抜く力を育んでいます。新カリキュラムによって学校設定科目、選択科目を増やし、新学習指導要領に先駆け「研究」と「探求」の授業を始め、近づく大学入学共通テストにも対応します。また教科戦略チームを中心として教科指導の均一性と質の向上をはかり、生徒ひとりひとりの学力向上をめざします。そして「3L希望学」を通して地域や世界の課題と向き合い、自らの使命と進路を実現します。こうして生徒ひとりひとりの希望に沿って、きめ細かで効率的な学びを実現します。すでに昨年四月からの具体的な学力推移でも好結果があらわれ、また部活動でも例年以上の結果が続き、その相乗効果も証明されています。
 今、持続的な学校経営のための総合改革は始まったばかりです。日々、PDCA(Plan・Do・Check・ Action)を繰り返し、改革は続けられます。
 最後になりましたが、本年も皆様の上に御恵みと御導き、祝福が豊かにありますようにお祈り申し上げ、校長としての年頭の御挨拶とさせて頂きます。