東北学院中学校・高等学校

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2016年 年頭挨拶 ―松本宣郎理事長―

2016年01月04日

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 明けましておめでとうございます。2016年を迎えました。東北学院にとっては130周年目の年であります。昨年掲げられた新しいスクールモットーは、「ゆたかに学び 地域へ 世界へ-よく生きる心が育つ東北学院-」であります。本学院が送り出してきた卒業生は計18万人になんなんとしています。伝統的なLIFE LIGHT LOVEのモットーは、神から与えられた命を大切に、学院生として光り輝き、世界の人々を愛する生き方を教えてきました。同じように大切にされてきたモットー、「地の塩 世の光」も社会において誠実に、謙遜に、正しく生きるように、と勧めてきました。新しいスクールモットーは伝統のモットーを生かし、本学院が教育する精神と、生徒学生の進路を見据えて具体的に表示したものと言えましょう。このとおりに歩みたい、と決意するものです。
 130周年を記念する事業の準備が進んでいます。創立記念日の5月15日の前日、土曜日14日に記念礼拝と講演会が予定されています。それに先だって3月には、本館正面に大学の新棟、「ホーイ記念館」が完成します。3人の創設者の一人、献身的に学院を支えたウィリアム・E・ホーイの名を冠しています。また、教育改革を実践し、学生たちの主体的・能動的な学修の場となるラーニング・コモンズ始め、音楽・演劇等のための小ホール、地域開放のカフェテリア、などの仕掛けは地域に奉仕するコンセプトであり、大学全体の活性化に資することになるに違いありません。
 先に挙げた新しいスクールモットーは昨年度、企画委員会を中心に全学に協力を求めて策定して来ているTG Grand Vision 150の産物でもあります。本ビジョンは、創立150周年までの20年間の長期計画を基に、当面する5年間の学院の方向性を提示し、それを1年ごとに実行してゆこうとするものであります。
 日本では高齢化社会の進行で、所謂2018年問題、少子化が大学入学者数を激減させてゆく事態を眼前にしています。経済状況についても全く楽観視は出来ません。また、東北地方の大学進学率の頭打ち状況は変わりそうにありません。他方で文部科学省及び中央教育審議会では高大接続、新しい学力試験や大学入試改革を進めています。国際的には、平和への脅威が依然として弱まらない一方でボーダーレスの流れはますます大きくなっています。教育のグローバル化を避けては通れません。学校、就中私立学校はこれらすべての、しかも流動的な状況に絶えず目配りして学校経営を行ってゆかなければなりません。他の学校と異なる、何を特色とし、魅力とするか明確にし、ぶれない建学の精神に立つ方針を守ると共に、時代と社会にも敏感に反応して柔軟に教育メニューを提供出来るようでなくてはなりません。
 東北学院は神の守りを確信し、130年の歴史を支えとし、しかし変化する世界と日本の状況にしなやかに立ち向かい、学校法人としての使命を継続し発展させてゆくことを、皆さんと共に宣言したいと思います。学院を愛する皆さんの意識が一つになってほしい、学生生徒が、この学院で学んで幸いだ、と実感し、外から眺める市民たちもが学院を評価し、また地域のメンバーとして受け入れてくれるようでありたい、と願うものです。
 法人としては、継続性とコンプライアンス、アカウンタビリティを掲げる姿勢を貫きます。とりわけ財政の健全な支えを維持するために最大限の努力をします。そのためには教職員・学生生徒皆さんにも協力と理解、忍耐をあえてお願いしなくてはなりません。教職員の間での円滑な意思疎通、情報の共有、課題解決を進めるためのPDCAサイクルの実践、など、これまでどおり自覚的に対応願いたいと思います。4月の年度変わりに職員の異動が多く予測されます。人事について十分に配慮し、全般に女性の働きの場の拡大を期待します。先に着手している職員人事制度を慎重に、しかし着実に進めてゆきたいと思います。
 大学は、教育研究の更なる改革進展を図ります。受験生の減少傾向を食い止め、地域に貢献し、魅力ある私立大学としてのプレゼンスを高め続けるために都市型キャンパス構想を中期計画に即して進めます。伝統の学問、とりわけ本学が謳ってきた人格的教養教育の充実はもちろん守らなければなりません。それと共に、社会的ニーズにも目配りする知恵、が求められるのです。
 「知〈地〉の拠点大学」に採択され、2つの大きな事業を走らせています。外部資金獲得の必要性は更に増しています。職員の全面協力のもと、科学研究費採択等への意欲を強めてほしいと願います。
 「地の塩、世の光」のモットーを学生に浸透させ、ボランティアへと励ますと共に、学生を大事にする大学でもありたいと思います。施設設備改善を図り、心地よいキャンパスを提供するために努力したいものです。「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」(いわゆる「障害者差別解消法」)の施行を受けて、学生総合保健支援センターを設置する予定です。英語教育センター、ラーニング・コモンズについても新たな組織をつくります。これらの面でも中期計画にそっての一貫した歩みの成果が数えられるのであります。
 中学校・高等学校、榴ケ岡高等学校にも、同じ学校法人にあって、しかしそれぞれに特色ある構想での発展を願います。高大連携、あるいは接続の検討を進めてきました。この4月からキリスト教学などいくつかの科目については、所謂TG推薦入学者のための特設科目とする計画です。ボランティア活動での連携の動きもあります。二つの高等学校と大学との連続性がより滑らかに、幅広くなるようにしたいものだと思います。
 また昨年度、新たに「中高教員人事制度」の構築の計画を導入することを決定し、両校教員に説明し、現在法人と教員とのWGで検討を進めているところであります。これにより教員の資質向上と学校改革に成果の上がることを期待しています。
 中学校・高等学校は、TG Grand Vision 150の策定により、中高からのビジョンが示され、教育内容の質的向上、教員人事計画、生徒確保の方策等につき常任理事などの役員との合同協議が開始されました。大学以上に厳しい状況が迫っている中で、力強い学院中高のビジョンをそびえ立たせてもらいたいと思います。進学の成果にも、スポーツにも輝いてほしいものです。
 榴ケ岡高等学校も魅力的な中長期計画の策定が期待されます。東北学院の二つの高等学校の特性の違いの、「見える化」を示したいと思います。泉区という地域にあり、スポーツと共に文化活動にもユニークさを示し、学院大学進学を主軸とする榴ケ岡高等学校に今後の生徒確保を見据えてどういう戦略が求められるか、であります。両校を通じて教員の教育力向上のために、学内・両校相互協力、あるいは外部の力を借りて、研修のプログラムを構想願いたいと思います。
 幼稚園がキリスト教による保育を謳って、地域からも信頼され、安定して多くの園児を集めていることを感謝します。施設の整備に心がけ、変化する行政や社会の要請に対応してゆかなければなりません。

 この年もまた学院は大きな課題を控えています。広い視野で将来を構想し、骨太の方針を打ち出すと共に、ささやかな身の回りのことにも細心の注意を払いたいと思います。特に、これは決して小さなことではありませんが、ハラスメントのない職場、教室でなくてはならないことを銘記すること、学生にも、教職員の間でも、笑顔と挨拶を欠かさないこと、これらのことを心がけたいものです。
 全体に関わることとしては、教職員倫理規程と危機管理規程を明確にしたいと思います。ガバナンスという面でも、この4月をもって常任理事、事務の管理職が、定年等によって交代となり、ポイントを押さえた補充を考えなくてはなりません。大学でも重要な部署の責任者の交代が予定されています。学校法人に限ったことではありませんが、「ひと」はとても重要です。よき人材が本学院に遣わされるよう、切に祈るものです。
 130年間東北学院をお守りくださった神さまが、この年にもゆたかな祝福と幸いをお与えになることを皆様と共に確信して、新しい年を歩み出そうではありませんか。

理事長 松本 宣郎